[現場改善事例] 炊飯加工:廃棄米飯を放牧牛用飼料(エコフィード)に活用

1. 支援先の概要

  • 業種:食品製造業(炊飯米製造)
  • 年商:40億円
  • 従業員規模:100名

2. ご相談の背景

今回の取り組みは、東海大学農学部名誉教授であり飼料学を続けてこられた飛岡先生との連携によって実施されたものです。教授から「飼料価格が高騰している中、阿蘇の赤牛や黒毛和牛に与えられる代替の食材を探している」というご相談をいただいたことがきっかけでした。

飛岡先生(左)と弊社代表本田(右)

ちょうどその頃、支援先企業では日々多くのご飯を廃棄している状況にありました。ご飯の焼却処理にも多額の費用がかかっており、年間で約300万円にも上っていました。

実際、ご飯の廃棄量は月に5〜6トンにもなり、米でいうと2トン分ほどが廃棄されていたとすると、現在の米価(1キロあたり600円として計算)で、月に約120万円、年間ではおよそ1,440万円分のお米が無駄になっていたことになります。支援先企業では、こうした食品ロスを減らし、環境にもコストにも優しい形に変えていきたいという思いがありました。そのような中で、大学との連携による飼料活用の話がつながり、今回の改善活動へと発展していったのです。

3. 進め方と期間

相談を持ちかけられてから、半年ほどで餌を制作するところまで達成し、その後は提供先で成分や与えた牛の生育状況などを見ながら改善を加えています。

4. 改善内容

弊社の紹介により、支援先企業は、牛の飼料として再利用する「エコフィード」づくりに取り組んでいる東海大学農学部の飛岡教授と阿蘇の畜産農家さんから成る「阿蘇周年放牧エコフィード協議会」に、これまで大量に廃棄されていたご飯を提供することを決定しました。ご飯の運搬費用は提供先がもつ代わりに、無料で提供します。

ご飯は、運搬にお金がかかりますし、餌作りの手間もあるため、1ヶ月間保管してから飼料として使用することになりました。そのために、保存性を高める工夫が必要だったため、酢の使用を提案されました。幸いにも、支援先企業では、日頃から酢飯を製造しており、酢の取り扱いには慣れています。そのため、廃棄ご飯にも酢を加えて保存性を高め、毎日集めたご飯を一定の場所で保管し、1ヶ月分をまとめて提供することになりました。1日あたりの量は多くない日もありますが、月にすると約3トン程度が集まります。

当初、「酢飯は牛にとって美味しくないのでは?」という懸念もありましたが、実際には牛たちは喜んで食べてくれているとのことです。飼料としての栄養価も専門機関で測定し、それに基づいて最適な配合設計や、原料の加工など、改善を加えながら行っているそうです。原料はご飯だけでなく、規格外サツマイモ、規格外ニンジン、豆腐粕、醤油粕、米ぬか、ミネラルなども加えてバランスを調整しています。

エコフィードに混合されるご飯
他の材料とローダーで混合される
エコフィード作成場所近くの牛舎

エコフィードの作成は、エコフィードの提供を受ける農家の人たちや、東海大学農学部の学生などが集まって、材料の搬入、飼料の混合、袋詰めといった作業をしています。袋詰めについては、利用者のニーズに合わせて、フレコン袋・20キロポリ袋・ドラム缶のバリエーションがあり、それぞれ計量・詰め込み作業を行なっています。

20キロポリ袋のシーリング
フレコン袋への飼料投入
多くの人たちが集まって作業にあたる

このように、食品ロスを減らしつつ、地域資源として有効に循環させる取り組みが、環境保全と畜産支援の両立につながっています。

5. 効果

廃棄業者引取りに伴う経費として、改善前の年間焼却コスト300万円がかかっていたところ、改善後は0円になりました。

※参考文献:2025年2月26日 中央畜産会オンラインセミナー「エコフィード(未利用資源飼料化)の重要性を考える – SDGsと食品リサイクル法 -」、熊本県阿蘇周年放牧エコフィード協議会 事務局長 飛岡久弥氏、会長 小坂今朝和 氏登壇資料「阿蘇地域における低・未利用資源を活用したエコフィード生産体制の構築」https://ecofeed.lin.gr.jp/wp-content/themes/ecofeedTheme/pdf/seminar/20250226/semi_250226_7.pdf

より詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

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